
【今知っておきたい世界の食生活:前編】
多様化する世界の食生活
世界にはグルテンフリーやヴィーガンだけではなく、宗教上の理由や、体質改善を目的として生まれた様々な食生活があります。多様化する社会の中で、食を最大限に楽しむために知っておきたいライフスタイルをご紹介します!

【主にアレルギー 、 信仰 、 自身の信念によって選ばれる食生活】
- グルテンフリー
- ベジタリアン
- ヴィーガン
- ハラール
- 【健康法、ダイエットなどから選ばれる食事】
- パレオ
- ケトジェニック
- ローカーボ(低糖質)
前編では【主に、アレルギー 、 信仰 、 自身の信念によって選ばれる食生活】
グルテンフリー、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラールについて説明していきます。
グルテンフリー

小麦·大麦·ライ麦などに入っている「グルテン」というタンパク質を避ける食事のこと。
もともとは、体がグルテンに異常反応してしまう「セリアック病」という自己免疫疾患の治療のために生まれた食事法です。
日本では、セリアック病と診断される人は少ないものの、グルテンを摂取してから、数時間から数日経って反応が出るグルテン過敏症(遅延型アレルギー)の疑いがある方は意外と多いといわれています。頭痛、めまい、うつ病、倦怠感(けんたいかん)、情緒不安定、アトピー、喘息などにグルテンが起因している場合もあります。体質改善目的ではじめる方が増えている食事法です。
グルテンが含まれる主な食品
パン、麺類、ケーキ·クッキーや、唐揚·天ぷら·とんかつなどフライ食品の衣、カレーのルウやホワイトソース、ミートソース、醤油(たまり醤油は例外)など、様々な食材に含まれています。
ベジタリアン
菜食主義者とも呼ばれ、肉、魚介類、それらの副生成物(含有食品)を食べない食生活のこと。卵や乳製品は食べる人、魚は食べる人など、ベジタリアンと言ってもその種類は様々です。和食には、幅広く魚を使った製品が使われているため、ベジタリアンの人が来日してペスカタリアン(乳製品、卵、魚は食べる)の生活をすることも。

ベジタリアンを選ぶ人の主な理由
- 宗教上の理由
生き物を殺さないという戒律や、精力がつく食事で煩悩を刺激しないなどの理由から肉食を禁じている仏教の精進料理の他にも、ヒンドゥー教やジャイナ教など菜食主義の傾向が強い様々な宗教がある。 - 動物愛護など倫理的な理由
動物愛護などの観点から、人が食べるために屠殺(とさつ)することが倫理上許されないとする考え。 - 体質的に合わないなど健康上の理由
加工肉や、赤身肉とガンのリスクと関連付けた研究が発表されており、健康上の理由から控えている。
参考資料: https://www.iarc.who.int/wp-content/uploads/2018/07/pr240_E.pdf - 環境保護上の理由
牛がゲップまたはオナラとして放出するメタンガスは、地球温暖化の大きな原因と言われています。世界の温室効果ガスの24%は畜産業から生まれていて、これは飛行機や鉄道などの輸送機関から排出される13%を遥かに上回る。
また、牛を放牧するための森林伐採や、飼育に大量の水を使用する(牛肉1kg育てるのに使われてる水の量は2トン)ことなども大きな問題となっている。
主なベジタリアンの種類

ヴィーガン

完全菜食主義とも言われ、卵・乳製品はもちろん、ハチミツも食べないベジタリアンのこと。動物の革製品も着用しない。
意外と知られていない!?ヴィーガン対応ではない食品
白砂糖:精製する際に動物の骨を使用する場合があるため。
ゼラチン:動物のコラーゲンから取られているのでNG。
レシチン:食品添加物の一種。卵黄由来と大豆由来があり、卵黄由来のものはNGです。
食品添加物に動物性の成分が入っている場合があります。
ハラール
イスラム法によって「許されたもの」という意味で、イスラム教の信者である「ムスリム」の人たちが口にする食料や、化粧品、身に付けるものなど、イスラム法で許可された製法や基準を満たしているものを指します。

食肉から分かる、食べ物に敬意を払うハラール
イスラム教では豚肉を食べる事が禁じられていますが、その他のお肉も自然の状態で育成され、イスラム法に沿った食肉処理がされているもののみがハラールとなります。
神は人間が食すために動物を創り、その動物の命に敬意を払うという考えのもと、祈りを捧げたり、動物を清潔に保つための環境が整えられた施設でのみハラールの食肉の処理が行われます。
↓ハラール食肉について分かりやすく解説してある参考動画です。
https://youtu.be/uKbByW4gogA
【※一部、鶏のと殺シーンなどが含まれます。苦手な方は観覧を避けてください。】
なぜ知ってくべきなのか?多様な食のライフスタイル
私は信仰している宗教もないし、知る意味ないよね。実はそうではないんです!
在日外国人、訪日外国人、また日本に行ってみたいと考えている人の中に「日本に食べられるものがない」と感じている人が実は多いのをご存知でしょうか?
「日本に行ってみたくても、ベジタリアンの私には食べられるものがない。」
「野菜が売りのレストランにもヴィーガン対応メニューがなかった。」
「グルテンアレルギーだけど、スーパーで何を買って良いか分からない。」
実際、私の周りでもこんな声をよく耳にします。

今後、社会や人々のライフスタイルはさらに多様化していきます。身近な人にも様々な食生活の人が増え、食のバリアフリー化はさらに必要となっていきます。どんなに自分が好きな国でも、自分のライフスタイルを受け入れてもらえないことは、人々の生き辛さを生んでしまいます。
様々な価値観の人たちが共存し、未来を作っていくために、まずは知ることから始めましょう!
まとめ
① グルテンフリーはセリアック病の他、グルテン過敏症(遅延型アレルギー)の対策、体質改善を目的として実践する人が多い。
② ベジタリアンは宗教上の理由や、動物愛護、環境問題など様々な理由から実践する人が増えている。
③ ヴィーガンは白砂糖も口にしない事が多い。
④ ハラールはイスラム法の基準をクリアした食品や製品のこと。
⑤ 様々な食のライフスタイルは、多様化する社会で必須の教養である。
